自然葬推進法 法案の目的について

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「自然葬推進法」制定に向けて~法案の目的について~

 前回は、自然葬推進法(案)( 以下「法案」といいます。)の前文について解説させていただきましたが、今回は、第一章総則のうち、第一条の目的について説明します。

 この法案の目的は、
①自然葬についての基本理念を示し、
②国、行政機関及び地方公共団体の責務、及び
③国民や地域住民のための施策の基本となる事項などを明示することです。そして
④自然葬のための施策を総合的かつ計画的に推進して国民の権利利益の保護を図ること、

 以上の4点です。それを法案第一条に、次のように記しています。

 第一条(目的)この法律は、自然葬についての基本理念を定め、並びに国、行政機関及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、国民や地域住民のための施策の基本となる事項を定めること等により、自然葬のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民の権利利益の保護を図ることを目的とする。

 では、①自然葬についての基本理念、とは何でしょうか?
 基本理念については、第三条に書かれているので、次回に説明しますので、本稿では要点のみ解説します。

 法案第三条には、「すべて国民は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい自然葬の自由を享有し、自然葬が円滑に実施できる処遇を保障される権利 を有する。」と書かれています。
 つまり、法案第三条は、自然葬を執り行う自由が「個人の尊厳」(日本国憲法第13条)に基づくものであり、私たち一人一人の自由な自己決定権であり、かつ幸福追求権のひとつである基本的人権として保障されていること、従って国や行政などから不当に干渉されない自由権であるということを、最も大切な基本理念として示しました。

 法案の目的には、②国、行政機関及び地方公共団体の責務をあきらかにすることなどが書かれていますが、それは、法案の第四条(国及び行政機関の責務)、第五条(地方公共団体の責務)、及び第六条(法制上の措置等)にそれぞれ明記されています。

 これらについても、順次詳しく解説させていただきますが、とりわけ第六条のとおり「国及び行政機関は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。」という条文が設けられれば、経済的に苦境に立たされている方々についても、お金の心配をせずに自然葬が実施できるようになります。このことは、安田初代会長が当初から希望していた重要な制度の一つです。

 次に目的③の「国民や地域住民のための施策の基本となる事項」とは何でしょうか。
 それは、法案の第七条(国の具体的施策の整備の義務)、第八条(自然環境との調和)、第九条(国有地等の利用)、及び第一〇条(自然葬の促進)です。

 おって解説させていただきますが、とりわけ、第九条のとおり「 国、行政機関及び地方公共団体は、国民や地域住民らが国有地又は公有地において自然葬を実施する権利を保障する。」という条文が設けられれば、自然環境との調和を図りながら、国立公園の中の森や山、河川や湖など大自然の中で自然葬を実施することが 可能となります。
 このことも、安田初代会長が当初から希望していた重要な制度の一つです。

 以上のとおり、法案の中で、
①自然葬についての基本理念、
②国、行政機関及び地方公共団体の責務が明示され、
③国民や地域住民のための施策の基本となる事項が自然葬施策推進会議(第一一条)の議論を通じて明確に具体化することができれば、
④自然葬のための国民の権利利益の保護を実現できるものと確信しています。