遺骨の粉末化について

(1)家族の手で砕く

 遺骨を自然葬にするには、まず遺骨を細かい粉末にする必要があります。実際に遺族の方々は故人の遺骨をどのようにして砕いているのでしょうか。そのノウハウは遺族の感想文から読みとることができます。『再生』の既刊号から抜粋してみました。(一部修正済み)

 「骨壺のお骨を取り出して骨洗いをいたしました。洗濯用の目の詰まったネットの中に入れ、バスタオルに包み、家族みんなで金槌を持ち寄り、代わるがわるたたきました。母の骨は80歳を超えていたせいか、思ったより簡単に20分くらいで米粒大に砕かれてしまいました。最初、想像していた段階では、骨壺の蓋を取るのも、お骨を金槌でたたくのも何か空恐ろしく、自分自身が鬼女のごとくに思えてゾッとしたものでした。ところが、実際は家族が寄り合って笑いのうちに和やかにお骨を砕き終えることができたのは、まったく思いがけないことでした」

 「姉妹と友人数名で遺骨を粉末にした。乳鉢で骨を砕き、篩(ふるい)にかけながら、この手で介護し看取ることなく逝かせたうずきは、砕く骨から伝わってきた」

 「骨を砕かなければならないということが、マナーとして必須だと理解していながら、いざ、その作業をするとなると、やはり複雑な思いが家族の胸を埋めました。親父の最後の仕事がゴルフ場だったので、愛用のゴルフクラブで骨を砕いたのですが、姉などは最後までできずじまいでした」

 「ある朝の晴れた風のない日、さっそくベランダに新聞紙を二重に敷き、遺骨を覆う純白の布を重ね敷き、その上に骨壺より取り出した遺骨を布の四方の端を持って覆い結ぶ。小さなハンマーで心をこめ、打ち砕き始めました。周辺部から中心へ繰り返しました」

(2)専門家に頼む

 遺族が自分たちの手で遺骨を粉末化するときには、故人が使っていた文鎮やゴルフのクラブでたたいたり、乳鉢とすりこ木で砕くというケースが多いようです。金槌やハンマーでたたいて砕く、瓶を転がすように押しつけて砕くという場合もあります。

 それでも、どうしても自分の手にかけられないという人もいます。そんな場合は専門家に依頼するとよいでしょう。

 葬送の自由をすすめる会の会員のために遺骨の粉末化を引き受けてくれる所のひとつに、葬儀ネット"木霊と凪(こだまとなぎ)"(東京都豊島区東池袋1-47-1、電話 03-3983-9079)があります。("木霊と凪"は、会とは独立した業者です。)

 『木霊と凪』での粉骨料金は1回2万円です。(2019年3月現在)

 当会の会員には割引きがありますので、直接お問い合わせください。
 なお、粉骨を包む水溶性紙については、当会にお問い合わせください。