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本会について
会の紹介
当会は1991年の設立以来、目的に賛同する市民が集まって、葬送の自由という基本的理念の確認と、自然葬への社会的合意の拡大を目指して、啓発活動を続けています。
実践の一環として、会員のための自然葬を行っていますが、会員になったから、自然葬をしなければならない訳ではありません。
家族、親戚の意向もあって、自然葬に賛成でも、自分は自然葬を実施してもらえそうにないが、運動の趣旨には賛成で、この運動を支えていこうとの考えの会員もいます。会員の考え方も多様です。夫婦でも意見が違うので、妻だけ、夫だけが会員となっているケースや、会員になっているのを内緒にしているケースもあります。
当会は、個人の意思を尊重する立場から、入会は個人単位です。
会員になると、次のようなサービスが受けられます。
- 会報『再生』が、年に4回送られてきます。『再生』には、会からのお知らせ、葬送に関する動静、海外の事情、自然葬をした遺族の方の感想文などが掲載されています。
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自然葬を行うことが出来ます。亡くなった方が、本会の会員でない場合でも、生前本人が自然葬を希望されていた場合は、自然葬を行う事ができます。
自分が死んだ時に自然葬を実施したい場合は、会と事前に実施のための契約を行うことが出来ます(生前契約)。 - 当会主催の講演会、討論会等のイベント、相談会などに参加できます。
『業者にも頼める時代になったので、会員になる必要は無いのではないか』との疑問への会の見解
海洋葬などの名称で、海での自然葬を実施している業者は多く、当会の会員にならなくても自然葬は可能になってきています。当会では、海に加えて、山での自然葬も実施しています。再生の森と名付けた場所で実施してきましたが、一部の業者の行為が原因で、地方自治体の条例で散骨が規制(禁止との記載ではありませんが、実質的には実行できなくなっている禁止状態です)される事が発生しています。多くの皆さんに受け入れられてきている自然葬ですが、キチンとした運動を行わないと自然葬そのものが、違法だとのレッテルを張られ、全くできなくなる可能性もあるとの認識を持っておく必要があると考えています。自然葬の道を更に広げるためにも、是非会員となって頂きたいと思います。
ご注意
会員になれば、葬儀、遺骨の保管などをすべて当会に委託できると誤解されている方もいらっしゃいますが、当会は、これらの業務は行っていません。自然葬を実施される際のお手伝いと立会いのみです。何とぞご了承ください。
NPO法人 葬送の自由をすすめる会 事務局
〒101-0031 東京都千代田区東神田1-4-1
K&S FIELDビル 6F
葬送の自由をすすめる会 会結成の趣旨
今の日本では、人が死ぬと墓地に埋葬されます。これがあたり前で唯一の葬送の方法だと考えられています。
しかし、もともと墓を造るというならわしは日本古来のものではありません。
かつては、一部の上流階級を除いて、庶民は遺体を海や山に捨てるのが普通でした。遺灰を海・山にまく散灰も古代からありました。庶民が墓を造るようになったのは、江戸幕府の民衆統制制度である檀家制度が軌道に乗ってきたころからです。一つの墓に何人も入るという「家の墓」が一般化したのはもっとずっと後で、明治30年代以降です。
外国では墓地に埋葬する以外に現代でもさまざまな葬法を認めています。ネール元インド首相、周恩来元中国首相、アインシュタイン博士、ライシャワー元駐日米大使らが自然に遺灰を還したことはよく知られています。アメリカのカリフォルニア州では全体の30%が散灰だといいます。
日本ではこのような葬法の自由は事実上強く制限されているし、法的にも違法だという考えが根強くあります。確かに、遺体をそのまま海・山に捨てるようなことは現在はできません。しかし、遺灰を海・山にまく散灰は、それが節度のある方法で行われるならば法律に触れることはありません。墓地、埋葬等に関する法律や刑法にはこれに関連する規定がありますが、どれも葬送のために遺灰をまくことを禁じるものではありません。
私たちは、先入観とならわしに縛られて自ら葬送の自由を失っていると言えるでしょう。
生きている人の数には限りがありますが、死者の数は年々累積して無限にふえていきます。墓地に埋葬する方法しか知らない今の日本では、死者のための墓地が山々の緑を剥ぎ取り、空き地を占拠して、生きているものが享受すべき自然を食い潰していくのです。なんという矛盾でしょう。
狭い国土の中で、墓地の不足が深刻な社会問題になっています。山に追い上げられた墓地は環境破壊を招くので、墓地開発を一切ストップする市も出てきました。一区画でも最低3~4百万円はかかります。永代供養のできない単身者や子供のない夫婦は寺や霊園から敬遠されます。墓地を持てない悩みはこれからますます深刻になるでしょう。そのためもあるのでしょうか、遺灰を海・山にまきたいという人がふえています。
私たちは、なによりもまず、死者を葬る方法は各人各様に、亡くなった故人の遺志と故人を追悼する遺族の意思によって、自由に決められなければならないと考えます。ですから私たちは、環境問題や社会問題だけから葬送の自由を主張するものではなく、墓を造る自由を否定するものでもありません。もちろん遺骨の散乱を招くような無秩序な葬送の自由を主張するものでもありません。
私たちが「葬送の自由をすすめる会」を結成した目的は、伝統的葬法を復活させるとともに、自然の理にかない、しかも環境を破壊しない葬法(このような葬法を「自然葬」と呼びたいと思います)が自由に行われるための社会的合意の形成と実践をめざすことにあります。
(1990年11月20日に 安田睦彦、梶山正三、薦田哲、池田敦子、小坂嘉雄 酒井卯作の6名が発表)