お知らせ

会長就任のご挨拶

中村 裕二

 葬送の自由をすすめる会(以下「本会」といいます。)は,設立から30年の節目を迎えました。安田初代会長,島田会長,西俣会長の後を継いで,このたび本会の会長に選任いただきました。紙幅をお借りしてご挨拶申し上げます。

 「葬送の自由」という新しい人権を発見された安田名誉会長の卓見より,本会はスタートしました。そして,「葬送の自由」についての社会的合意をひろげ,地球環境を保全するための自然葬のあり方を研究,啓蒙,普及,実践することを目的(定款第3条)として,これまでの30年間,会員のみなさまの熱意に支えられて本会の活動が続けられてきました。その結果,本会の活動の成果として,自然葬がかつてよりも広く行われるようになったのは事実であると思われます。

 しかし,残念ながら,自然葬,葬送の自由を支える法整備が社会一般に十分整っている状況とは思われません。また,会員のみなさまが望む自然葬が必ずしも個々のケースにおいて,確実に実施されているという状況でもありません。

 本会としましては,自然葬の環境を整えて,これまで行ってきた自然葬の実施を粛々と継続するとともに,自然葬推進法の制定を目指す運動を進め,また死後事務委任契約公正証書の作成を広くお知らせすることにより,自然葬,葬送の自由が日本国憲法における基本的人権として承認され,本会の目的が実現できるよう努力していきたいと思っています。

 日本国憲法第12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は,国民の不断の努力によって,これを保持しなければならない。」と定めています。

 人権は,発見しただけでは,具体的な権利として確立しません。私たちが不断の努力を持って,これを行使し続けて初めて権利として確立することを,日本国憲法第12条は教えてくれています。

 皆さんと力を合わせて,自然葬を継続することが,「葬送の自由」を基本的人権に高めることになると確信しております。

 ふつつかな会長で,みなさまには大変ご迷惑をおかけすることもあろうかと思いますが,なにとぞご指導,ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。